韓国の国会は14日午後、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案を可決した。野党や無所属議員の賛成に加え、保守系の与党「国民の力」の一部議員が賛成した。尹氏の大統領としての職務は停止され、当面の間、韓悳洙(ハンドクス)首相が権限を代行する。
投票の結果、賛成204、反対85、棄権3、無効8だった。与党議員のうち少なくとも12人が賛成票を投じた。
180日以内に憲法裁判所が弾劾訴追の是非を判断する。憲法裁が弾劾を認めれば、尹氏は罷免され、60日以内に大統領選が実施される。
尹氏が3日夜に宣布した「非常戒厳」を巡り、最大野党「共に民主党」など野党6党は「違憲」だと批判。尹氏の弾劾を求める議案は7日、国会での投票に与党議員のほとんどが参加せず廃案となったが、野党側は12日に2回目の弾劾訴追案を提出していた。
捜査当局は、内乱などの容疑で尹氏の立件を目指している。現職大統領には不訴追特権があるが、内乱罪は例外。尹氏は12日、「弾劾しようが捜査しようが、私はこれに堂々と立ち向かう」と述べている。
韓国大統領に対する弾劾訴追は3例目。2004年の盧武鉉(ノムヒョン)氏に対する弾劾訴追は憲法裁が棄却し、盧氏は罷免を免れた。16年の朴槿恵(パククネ)氏への弾劾訴追は憲法裁が妥当と判断。朴氏は罷免された。
韓国の尹錫悦大統領が弾劾訴追案を可決され、職務停止となりました。戒厳令を巡る問題が背景にあります。
先週の弾劾訴追案の採決をボイコットした与党「国民の力」は、今回は全員が参加しました。本会議は午後4時に始まり、1時間ほどで結果が出るという迅速さでした。
与党では「否決」の方針を維持したものの、縛りはかけず、結果として少なくとも12票の「造反」が出た形です。尹錫悦大統領が戒厳令を正当化したうえで「最後まで戦う」という発言をした後、与党内で「弾劾賛成」の雰囲気が広がりました。
現在、韓国の政治は民主化以降、最も荒れており、分裂も深刻化しています。ここで注目されるのは大統領代行を務める韓悳洙国務総理です。彼が韓国の政治を安定化させ、国民からの信頼を回復できるのか、または「敗戦処理投手」となるのかは、大統領代行の働きにかかっています。
また、憲法裁判所にて、今回国会で可決された弾劾訴追案に対する最終判決が下されるのは「180日以内」であることが示されています。これは約6ヶ月後に次の大統領選挙が前倒しで行われる可能性もあることを意味します。
尹大統領の弾劾は、アメリカでも特別な関心を呼んでいます。ドナルド・トランプ次期大統領が議会下院に弾劾訴追された事件との類似点が指摘されており、韓国の政治状況は、アメリカの人々に自国の民主主義の現状を再考させています。
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