厚生労働省が6日発表した10月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)では、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で横ばいだった。電気・ガス代の補助再開で物価の伸びが鈍化した上、最低賃金の引き上げによる賃上げが広がり3カ月ぶりにマイナスから脱却した。
10月の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)の伸び率は2.6%だった。政府の電気・ガスの負担軽減策により9月(2.9%)より下がった。名目賃金を示す現金給与総額は29万3401円で、2.6%増だった。
実質賃金は5月まで26カ月連続でマイナスが続いた後、6〜7月は賞与の押し上げによりプラスに転じた。賞与の効果が薄れた8月からは再びマイナスになっていた。厚労省の担当者は「賃上げにより名目賃金の上昇は続いても、実質賃金が上昇するかどうかは物価次第だ」としている。
10月の現金給与総額の内訳を見ると、基本給を中心とする「所定内給与」は2.7%増え、31年11カ月ぶりの高い伸びだった。企業の賃上げが進んでいるほか、10月以降に最低賃金が上がった効果が出た。最低賃金の引き上げ幅は全国平均で51円と過去最大だった。賞与など「特別に支払われた給与」は1.7%のマイナスだった。
総実労働時間は0.5%短い139.8時間となった。
働き方ごとに見た現金給与総額は、正社員を中心とするフルタイム労働者が2.6%増の37万4654円、パートタイム労働者が3.3%増の10万9806円だった。パートタイム労働者について時給換算した所定内給与は4.2%増の1356円だった。